【特集図書・2021年6月】

 こんにちは立命館大学BKC学生ライブラリースタッフです。

 6月になり、初夏の季節になりました。これから梅雨や夕立に見舞われ、雨が降る時間が多くなることでしょう。そこで私たちLSは、「雨の季節」をテーマにした本を集めました。鬱陶しい雨、何気ない雨に対して思いをはせてはいかがでしょう。雨の多種多様な面に触れてみて下さい。

ネイチャーハイク入門 : 自然を感じる山歩き術』、松倉一夫、JTBパブリッシング、2013年

 梅雨が終わったら山に登ってみませんか?山に行くと、多様な花や樹木があり、そして鳥たちの鳴き声を聞くことが出来ます。この本では、日本の自然豊かな山を登るときに見られる「生き物」を紹介しています。また、登山に必要な装備品や実際の登り方についても詳しい説明があるので、これから山登りを始める方にも最適です。

晴れの日に、傘を売る。 : waterfront支持率ナンバーワンの傘を生んだ「良品薄利」の経営』、林秀信、阪急コミュニケーションズ、2014年 

 晴れの日に、傘を売る──そんな謳い文句から始まるのは、『傘』一筋で生きてきた、とある経営者の物語です。高級品だった傘を500円で提供できるようにし、のちに傘国内シェアNo.1を確立することになる会社『ウォーターフロント』の社長の苦悩と葛藤・・・夢と希望の物語です。梅雨の時期に何となく開く傘──そんな当たり前の光景が作られるまでに繰り広げられた物語は、傘を見るたびに感動すること間違いなしです。「人類を傘から解放する」──そう語った社長の軌跡を、傘にぶつかる固い雨音ともに、追ってみませんか?

死神の精度』、伊坂幸太郎、文芸春秋、2008年 

 主人公の千葉は職業死神。死神の仕事は、調査対象の人間を一週間にわたり観察し、死を見定めること。対象者の死を「可」とするか「見送り」にするかは死神次第。千葉が仕事で人間界に赴くと必ず雨が降っている。
 この本は、死神の千葉を取り巻く6つの物語からなる短編集です。それぞれの物語は推理小説やラブストーリー、旅行記などのように展開され、全編飽きずに一気に読むことができます。雨が滴るこの季節、雨が印象的なこの小説をお勧めします。

梅雨ノ蝶』、佐伯泰英、文芸春秋、2019年 

 安永六年の初夏、江戸髄一の両替商・今津屋では佐々木道場の改築完成を間近に控え、主や老分番頭が祝いの品を思案していた。
 一方の坂崎磐音は、道場開きで行う対抗戦に頭を悩ませる。そんな中、南町奉行所低廻り同心の木下一郎太と夜道を歩いていた磐音は、火事の現場に遭遇し、またもや思わぬ事件に巻き込まれる。磐音が、まさかの深手を負い、不覚にも斬られるか!?
 このような波乱万丈のストーリーが、梅雨の嫌な気分を一掃してくれるかもしれません。

「健康食品」ウソ・ホント : 「効能・効果」の科学的根拠を検証する』、髙橋久仁子、講談社、2016年 

 「運動しなくても、食べるだけで健康になれる!」そんな商品の広告を見る機会が多いですが、本当に効果はあるのでしょうか?この本は、身の回りでよく見る「健康食品」の効能や効果の科学的な根拠について解説・議論しています。なかなか外に出づらい「梅雨」の時期だからこそ、自身の健康について考えてみませんか?

雨の科学』、武田喬男、講談社、2019年 

 梅雨の時期に必ず出会う雨──そのことについて、あなたはどれだけのことを知っていますか?なぜ、雨は滝のように連なって落ちてこないのか・・・なぜ、雨は小粒と大粒に分類されているのか・・・そもそもなぜ、雨は降るのか・・・。『雲・雨・雪』研究の第一人者である本書の著者が、深いところまで丁寧に解説してくれます。梅雨が訪れる前に、雨のこと・・・深く知ってみませんか?

雨月物語:全訳注』、上田秋成、青木正次、講談社、2017年 

 雨月物語は、江戸時代後期に上田秋成によって著された、全九話からなる読本、怪異小説です。タイトルの由来は諸説あり、序文では雨がはれて、月がおぼろにかすんだ夜に記したためとあります。他説では、中国の怪異談で、妖怪は雨が降り、月が雲に隠れるような夜に現れるためだとあります。どちらの説であっても、じめじめとして蒸し暑い初夏の夜には、雨月物語がぴったりではないでしょうか。

幻妖の水脈』、夏目漱石 [ほか] ; 東雅夫、筑摩書房、2013年 

 本書は、王朝物語、説話文学、謡曲から近現代小説まで、日本幻想文学の豊饒な系譜を3巻本構成で総覧的に紹介しています。『源氏物語』『今昔物語』『雨月物語』などの大古典に始まり、明治の『遠野物語』、大正の『一千一秒物語』、昭和の『唐草物語』等々、幻想文学史を彩る妖しき物語群の中から窮極の名品を収録しています。春霖の季節に、アジサイの美しい姿を伴い、読んでみてはいかがでしょうか。