【特集図書・2021年9月】

 こんにちは、立命館大学BKC学生ライブラリースタッフです。

 9月になりました。徐々に気温が下がってきて、肌寒いと感じる日も多くなってきました。この肌寒さからミステリーを連想する人も多いのではないでしょうか。ということで今回のテーマは「ミステリー」です。人と集まることが憚られる昨今ですが、1人でミステリー小説を読み、肌寒い夜を楽しんでください。

探偵ガリレオ』、東野圭吾、文藝春秋、2002年

 過去にドラマ化されたこともある東野圭吾のミステリー小説のシリーズ第一作です。大学の物理学の助教授である主人公が、一見説明の出来ない不可思議な事件を、物理学を用いて解き明かします。主人公は一貫して物理学の観点から推理を行うので、同じ観点を持ちながらこの本を読むことで、主人公と一緒に謎を解明していくこともできるかもしれません。

悪の教典』、貴志祐介、文藝春秋、2012年 

 晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司は邪魔者は躊躇いなく排除する共感性欠如の殺人鬼です。学校にサイコパスが紛れこんだ時、三人の生徒が平和な学園生活の下の暗流に気付きました。しかし、時すでに遅かった。学園祭の準備に集まったクラスをステージとしての物語が始まった。スリル満点で臨場感あふれる。恐怖を感じつつも読んでしまう。天才が起こした殺人事件を述べるサイコホラー傑作です。

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』、東川篤哉、文芸春秋、2015年

 「謎解きはディナーの後で」の作者の東川篤哉の、もうひとつの推理小説シリーズです。このシリーズにはお嬢様も毒舌執事も出てきませんが、新人刑事と訳アリ家政婦がコメディを繰り広げています。ですが、ただ面白いコメディだけでなく、東川篤哉らしい本格的なミステリーも魅力的です。クセ強めの登場人物たちに惑わされないように推理してみてください。

折れた竜骨』、米澤穂信、東京創元社、2010年

 魔術や呪いが存在するファンタジー世界において、果たして推理の力は通用するのか。水と油ともいえる「ファンタジー」と「推理」の融合に米澤穂信氏が挑んだ意欲的な作品です。舞台は中世ブリテン島の近くに浮かぶソロン諸島。暗殺騎士の魔術を使って父の命を奪った犯人を、主人公は推理を武器に探し出そうとします。魅力的なキャラクター達や手に汗握る展開が醍醐味の作品です。ぜひ手に取ってみてください。

死神の浮力』、伊坂幸太郎、文藝春秋、2013年 

 娘を残虐に殺された小説家の山野辺は苦しみのなかにいた。著名人であるが故にマスコミからの心無い取材に晒され、さらに犯人とされていた男・本城が第一審で無罪になったのだ。しかし、山野辺は彼が犯人であることを「知っていた」。 彼はサイコパスと呼ばれる反社会的人格者で、 自分が犯人である証拠を、山野辺宛てに送ってきていたのだった。

ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』、東野圭吾、光文社、2020年 

 名もない町で、観光客を呼ぶための華々しい計画が進行中だった。多くの住民の期待を集めていたこの計画は、世界を襲ったコロナウイルスの蔓延により頓挫してしまう。そんなタイミングで発生した殺人事件から始まった物語。「俺は自分の手で、警察より先に真相を突き止めたいと思っている」と現れた〝黒い魔術師〟と一緒に、犯人と探偵の仕掛け合いに挑んでみませんか。

むかしむかしあるところに、死体がありました。』、青柳碧人、双葉社、2019年

 「むかしむかしあるところに、死体がありました。」という強烈なタイトルが目を引くこの本には、昔話×ミステリーというありそうでなかった視点で5つの短編が収録されています。著者は「浜村渚の計算ノート」シリーズで有名な青柳碧人。昔話の裏側のような視点から描かれた本格ミステリーにきっと驚かされるはずです。

素敵な日本人』、東野圭吾、光文社、2017年

 この本は、9つのミステリー短編が集まった小説です。その中の1つである【レンタルベビー】では、子育ての疑似体験として赤ちゃんのロボットをレンタルした主婦が、次第にそのロボットに愛情を感じていき、レンタル終了の日を迎えてどう行動するかというお話です。東野圭吾の作品の中では珍しい短編集であるため、普段あまり小説を読まない人にもおすすめの1冊です。