【特集図書・2017年2月】

 こんにちは!学生ライブラリースタッフです。

 今回お届けする特集図書、テーマは『極める!』です。進学や就職により、新たな世界に挑む季節がやってきましたね。日に日に寒くなってきたこの頃、暖かい部屋に居ながら様々な世界を垣間見ることができる本をセレクトしてみました。

「タレント」の時代世界で勝ち続ける企業の人材戦略論』、酒井崇夫、講談社現代新書、2015年

 「創造性」「非定型性」「知識を獲得する力」に長けた人は、様々なジャンルの知識の組み合わせができ、新しい知識を生み出すことができると思います。日本で産業の空洞化が起きているのは、定型的な企業の仕事体制にも問題があると考えられています。有能な人材が流出し、企業を受け入れる地域も廃れていく一方、海外の企業や人々は、日本の企業や地域のいい所を見出し、評価しています。グローバル化しようと必死な日本は、自らの良さに全く気付けないのです!仕事やサークル活動で「この人の右に出る人はいない」と思わせたい人、ぜひ、読んでみてください。

ミリオンセラーガール』、里見蘭、中央公論新社、2013年

 行きたい企業に行っても、やりたい事ができるとは限りません。仕事において、分野外でも自分の力が発揮できる柔軟性の有無がポイントとなってきます。最近では、ドラマ「校閲ガール」など、あまり知られていない仕事の裏側を描く作品が多くなってきています。本書は、書店営業の販売促進部を舞台に、失恋した主人公が職を失うという衝撃の展開から始まります。専門用語も並ぶ物語全体はテンポ良く進み、特に主人公が仕事にのめりこんでいく姿は快感です。どんな仕事が来ても「極めてやる」とアグレッシブになりたい人、読んでみてはいかがでしょうか。

世界最強の女帝 メルケルの謎』、佐藤伸行、文春新書、2016年

 ドイツ初の女性首相、アンゲラ・メルケルの謎に迫ります。集合写真ではセンターに写り、手のひらで「メルケルダイヤモンド」を作りポーズを決める彼女に、手を振り写真に応える他の首脳陣とは一味違う雰囲気を感じた方もいるのではないでしょうか。幼いころにすごした冷戦時代が、人を見極める力つけさせたそうです。二度の結婚を経て、現在は最初に結婚した夫のメルケル姓を使用していますが、最初の結婚をした理由がかなり合理的で思わずうなってしまいます。読後は、人を動かす術と、不思議な魅力の秘密を教えてもらえた気分になります。

誰かに教えたくなる世界一流のキャッチフレーズ The World’s Most Popular Slogans and the Stories Behind Them』、ライオネル・セイラム著、月谷真紀翻訳、クロスメディアパブリッシング、2013年

 たった一文字や物語形式で、多くの人を振り向かせるキャッチフレーズ。訴えたいことを文字にするには、イマジネーションやアイデアが求められます。本書は、分野ごとにキャッチコピーを原文、和訳文とともに解説します。例えば、自動車部門ヒュンダイの「ENGINEUS(エンジニアス)」。著者は「エンジン」と「独創(インジニアス)」の、二つのワードを絶妙にミックスさせ、先端性を表現しているそうです。面白い言い回しも盛りだくさんで、英語の勉強にもオススメです。

東京ガールズコレクションの経済学』、山田桂子、中公新書ラクレ、2011年

「東京ガールズコレクション(通称TGC)」は、2005年から開催され、以降年2回の定期ファッションショーを行い、現在までに23回目のショーを大成功におさめています。大人気俳優や、ファッションアイコンをランウェイに登場させ、流行のスタイルを提案し、瞬く間にメディアの注目を集めていますが、かつては運営費がかさみ、継続できない危険性もはらんでいたそうです。TGCを経済面から見た発展の秘訣や、「上段12センチメートルの法則」などの心理的なワードを解説します。運営方法と、オシャレ文化の両方を学べますよ。

大学生活+2(ジュウジツ)選書大学生のための失敗しない大人のマナー』、
株式会社クレスコパートナーズ監修、旺文社、2015年

 読んでいる間中、思わずドキッとするのではないでしょうか。お箸の使い方などの基本的なマナーから、社会人に必要なマナーまで、図で分かりやすく解説してあります。特に、席次でのマナーが印象的です。アルバイト先の飲み会でも、席次は重要ですよね。応接室はもちろん、和室、タクシー、中華料理店の円卓、更にエレベーターまで上座の位置が決まっているそうです!上座だけではない、その他の細かな席順も番号で解説してくれます。
自分の中では、正しいと思っていたやり方が、実はアウトだった・・・という事も。一生、使えるマナーがまとめられていますので、読んでみてはいかがでしょうか。

ハリウッド・ビジネス』、ミドリ・モール、文春新書、2001年

 連日、日本では有名人のゴシップが騒がれていますが、ハリウッドのゴシップは国内にとどまらず世界規模ですよね。それだけスターたちが注目されており、時には何億というお金が経済を回ります。本書では、ハリウッド映画で起きた有名な訴訟や裁判、壮絶な駆け引きを紹介しています。中でも、ディズニーアニメ映画「バンビ」の著作権表示問題は、一つの行動が命取りになることを感じさせます。「ターミネーター」「スパイダーマン」「スターウォーズ」など、ハリウッド豆知識も交えて、映画史のブラックな一面がのぞける一冊です。

ナウシカの飛行具、作ってみた発送・制作・離陸-メーヴェが飛ぶまでの10年間』、
メディアアーティスト八谷和彦、猪谷千香、あさりよしとお、株式会社幻冬舎、2013年

 宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」に登場する白色のグライダー、メーヴェをご存知でしょうか。ついに2016年7月、メーヴェが大空をさっそう舞いました!そのメカニズムは、一体どのようになっているのでしょうか。本書は、宮崎監督のアニメに魅了され、作人に登場するアイテムを作って動かしてみたいメディアアーティスト達の執念の記録です。ものづくりを極めたい人、ものづくりに行き詰まり始めている人にオススメです。