【特集図書・2019年11月】

 今回のテーマは「昨年度の間に貸出数0の図書」です。
 
 みなさんは図書館で一年間に一度も借りられたことがない本は、どんな本だろうと思ったことはありませんか?そこで今回は、昨年度に一度も借りられたことのない本を紹介しています。立命館に眠るまだ見ぬ一冊を、ぜひ手に取ってみて下さい。

自己愛人間』、小此木啓吾、筑摩書房、1992年

「なぜ自分は生きづらいんだろう」  

 そのように悩んだことはありませんか?自己愛が無いと自己肯定感が生まれないし、行き過ぎると自分の現実を受け入れられなくなる「自己愛人間」になってしまいます。この本ではそういった現代の日本人のこころの動きが分析されています。ぜひ読んでみてください。

スカーレット・ウィザード』、茅田砂胡、中央公論新社、2014年

 誤解を承知でまとめると、宇宙海賊ケリーと財閥令嬢ジャスミンのSF恋愛譚。結婚は宇宙での鬼ごっこの勝敗で決定、宇宙でも地上でも戦闘はお手の物。そんな“怪獣二匹”による、型破りな恋愛小説。実は第1回センス・オブ・ジェンダー賞を受賞しており、妊娠や出産、育児が冒険と並んで当たり前に描かれている点でも面白く読める一作です。

星の文学館 銀河も彗星も』、和田博文(編者)、筑摩書房、2018年

 みなさんは、夜空に瞬く星々をみたとき、何を感じ、何を思いますか?
その美しさに圧倒されたり、どこか懐かしく寂しい気持ちになったり、星は私たちに様々な感情を芽生えさせてくれます。この本は、星にまつわる文学アンソロジーです。星に魅了され、星に思いを馳せた著者たちの世界を、ぜひのぞいてみませんか?

君の悩みに答えよう』、大野久[ほか]編、福村出版、2017年

 10代20代の様々な悩みや違和感を、心の専門家が心理学的観点からアドバイスしてくれる一冊です。大学生の悩みは大学、友人、SNS、家族……と盛りだくさん。生きるヒントがあるのにひとりで悩みを抱えるなんてとんでもない!これからの大学生活、この本があなたのバイブルとなること間違いなしです。

広辞苑先生、語源をさぐる』、新村出、河出書房、2018年

 広辞苑、それは誰もが一度は使ったことがあるのではないでしょうか?広辞苑は言葉の宝庫で、ページをめくると実に多くの言葉の意味を知ることができます。この本では、そんな広辞苑の中の様々な言葉の成立起源が語られています。
 「天と地、日と月、青空、虎、鶴…」などなど、これを読むと少し物知りになれるかもしれない、そんな一冊です。

牡蠣の歴史』、キャロライン・ティリー、原書房、2018年

 牡蠣はお好きですか?焼いてもフライでも生でもよく食べられている牡蠣ですが、私はあまり好きではありません。そんな牡蠣と人との歴史は古代ローマまでさかのぼります。あなたも牡蠣に詳しい牡蠣好き、牡蠣に詳しい牡蠣嫌いになりませんか?巻末に世界の牡蠣料理レシピ付きです。

偽善のトリセツ』、パオロ・マッツァリーノ、河出書房、2019年

 「ボランティア・募金は自己満足の偽善?」「やらない善よりやる偽善?」
偽善は本当に悪なのか、他人や自分の行動を見て一度は考えたことがあるのではないでしょうか。「これは偽善だから…」と考えてしまう方にこそ是非手にとって欲しい一冊。

江戸・幕末・明治おもちゃ絵・遊び絵の世界』、河出書房、2018年

 江戸から明治の時代にかけて描かれた、知育玩具としての浮世絵版画。それが「おもちゃ絵」「遊び絵」です。国芳、三代国貞、二代広重などの浮世絵師たちのアイデアと技術が光る作品の数々を、全てフルカラーで楽しめます。一つの画面に詰め込まれたイラストやその色遣いは、令和の今でもお洒落に思えるのではないでしょうか。