【特集図書・2019年8月】

 今回のテーマは「表紙借り」です。

 「ジャケ買い」という言葉があるように、本の表紙をみて本を買うこともあると思います。普段、配架されている本は背表紙しか見えないことが多いです。そこで、今回は特徴のある表紙の本を紹介しています。「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ借り」を体験してみませんか?

乙女の港』、川端康成著、実業之日本社、2009年

 図書館で一番カワイイと思う図書を選びました。立派なケースと二冊の本にちょっと身構えてしまうかもしれません。難しそうと思うなら、まずは挿絵だけ眺めてみるのがおすすめ。中原淳一のイラストで、レトロでカワイイ仕上がりになっています。そしてもちろん中身も負けていない。不朽の少女小説として名高い一冊です。

無印良品のデザイン』、日経デザイン編、日経BP社、2015年

 所狭しとたくさんの商品が並び、ここに行けば大抵の物は揃ってしまう無印良品。本著では、そんな無印良品の成功の秘密をデザインの視点から分析する。コミュニケーション・デザインの秘密や商品開発プロセスなど、無印良品を支えるアドバイザリーボードがすべてを語る。

捨てられないシャツ』、都築響一著、筑摩書房、2017年

 「断捨離」ブームが依然として盛んな世の中。どうしても捨てられないっていうもの、ありませんか?それがTシャツなら、ボロボロでもう着られないけどデザインがツボ、元カレが家に忘れていった、着心地がいいから等々。たかがTシャツなんて馬鹿にせず、Tシャツの数だけある人生を垣間見ることができる、興味深い一冊。

占星術殺人事件』、島田荘司著、南雲堂、2008年

 ひねくれた性格の占星術師の御手洗が、占星術が絡んだ殺人事件の謎を解くミステリー。難事件ですが、最後には巧妙なトリックも犯人の心情も全て明かされます。
 この本の表紙は、内容とは直接関係は無いものの、読んでみると本にちゃんと合っていることがわかります。見た目もきれいなので、気になる方はぜひ読んでみてください!

アレクサンドリアの風』、岩澤夏樹・中川道夫著、岩波文庫、2002年

 テーマの割に地味な表紙だと思ったあなたに読んでもらいたいと思います。マケドニアのアレキサンダー大王が建設した港町、アレクサンドリア。古代エジプトの王朝首都でもあり、70万冊を蔵した図書館を始めとする文化的活動の重要拠点でした。という教科書的説明は今回は置いておいて、文字では表せないアレクサンドリアを感じてみませんか?

GOSICK GREEN』、桜庭一樹、株式会社KADOKAWA、2016年

 ぱっと目を引く鮮やかな緑色に真っ黒なシルエットの数々。読み進めていくうちに、少しずつ表紙の意味が明らかになっていき読み終わったときには違って見えるのではないかと思います。超頭脳を持つ美女ヴィクトリカと見習い新聞記者の一弥、二人の絶妙な関係と探偵社に舞い込んでくる事件に引き込まれること間違いなしです。

アンソロジー カレーライス!!大盛り』、杉田淳子編、筑摩書房、2018年

 誰しもが一度は口にしたことがあるだろうカレーライス。だからこそ人それぞれカレーライスには思い入れがある。本作はカレーライスにまつわる有名作家44人によるエッセイ集。普段は読まない作家さんの持ち味も堪能出来て、満腹になること間違いなし!おいしく食べてみませんか?