【特集図書・2019年3月】

 こんにちは!学生ライブラリースタッフです。

 今回お届けする特集図書、テーマは『3.11』です。今年で東日本大震災が起きて8年。記憶が薄れていているのではないでしょうか。図書館には震災関連の本もたくさんあります。今回はその中から8冊の図書を紹介します。

そして、星の輝く夜が来る』、真山仁、講談社、2014年

 この本は東北大震災で実際に起こった事実を基に描かれている6つの連作短編集である。物語は被災地の遠間第一小学校に応援教師として派遣された、小野寺徹平が赴任したところからスタートする。また筆者が過去に阪神淡路大震災を経験しているため、被災地の“テレビでは見えない”リアルがより鮮明に描かれている。今年で震災から丸8年が経過したが今一度、この小説から東北大震災について思いを馳せてみてはいかがだろうか。

災害リスクの心理学:ダチョウのパラドックス』、中谷内一也、丸善出版、2018年

 「もし地震が起きても自分は何とか助かるだろう」こころのどこかで、そんなふうに思っていませんか?この本では先の問いについて、人間の忘却癖、楽観癖、情性癖、単純化癖、群衆への同調癖…などなど、心理学の知見に基づいて考察しています。災害に対する備えをより良いものにするために、あなたの思考の癖を切り替えましょう。

まちはしずかにあゆみだす-3.11後の21章-』、中日新聞編集局、中日新聞社、2016年

 3・11の記憶を風化させないために中日新聞が震災2年後から始めた連載の記録です。3・11で破壊された街や生活から、被災された人が一歩一歩立ち直っていく様子が記されています。ある人は家族を失った悲しみから、ある人は仕事を失った苦しみからそれぞれの悲しみ・苦しみを乗り越えていく姿は読者に訴えかけるものがあります。
 全世界に衝撃を与えた東日本大震災、あれから今年で8年になります。多くの人の記憶から3・11が薄れつつある中、私たちはもう1度振り返ることが必要なのではないでしょうか。

原発事故と「食」』、五十嵐泰正、中央公論新社、2018年

 本書はただ単に食の安全・危険を騒ぐものではない。生活に間違いなく欠かせない食は今、生産や加工の現場が消費者から遠のくにしたがって専門性や秘匿性を高めている。そのような中で起こる問題に、情報に疎い消費者はしばしば極度の不安や強大な不信から差別ともいえる購買行動を起こす。また、これらが影響して社会一般にもどことなく悪いイメージを植え付ける。
 本書は、そのような動きを様々な立場の見方を踏まえて描き、考察する。私たちは、どのように食を見るべきなのか?

新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている』、山村武彦、宝島社、2015年

 3.11から今年で8年たつが、皆さんは日々の災害に備えた準備を今も行っているだろうか。正直なところ災害が起きてすぐはメディアも防災のテーマを扱う機会が多く、また私たちの危機感もある。しかし数年または十年以上たつと風化してしまい、そのため自分たちが実際に災害に見舞われたとき取るべき行動がわからなくなってしまうと思う。これでは被害が大きくなるばかりだ。
 この本では災害が起こる前や起こった後の人間の心理や行動のほか、日々の対策や防災の知識についても詳細に書かれている。地震や豪雨といった災害はいつ起こるかわからない。この本を読んで日々の防災について振り返ってみてはいかがだろう。タイトルがすべてを物語ってくれています。『人は皆「自分だけは死なない」と思っている』。この本には、心理学部の方はご存知の方も多いと思われる“バイアス”についてや、人間には「自分だけは大丈夫」と期待する本能、地震に備えられない人々、防災常識の三大ウソなど、なるほど!や本当に?などの驚きがたくさん詰まっています。防災心理の本ですが、学部に関係なく、たくさんの人に読んでほしい作品です。あなたの常識が変わります。

東日本大震災の教訓:津波から助かった人の話』、村井俊治、古今書院、2011年

 3.11からメディアでは防災が重要視されています。しかし、実際に震災にあった人はハザードマップに指定された避難所へ逃げたにも関わらず多くの犠牲者を出しており、既存の施設やシステムを信じないで一瞬の機転や判断をした人達が生き残った例も少なくありません。
 本書は当時咄嗟の判断で助かった事例、助からなかった事例を紹介し、著者が教訓としてまとめていく方法で成り立っています。今後もし東日本大震災のような災害が起こった場合、ここから得られる教訓を活かしてほしいと思います。

挽歌の宛先:祈りと震災』、河北新報者編集局、公人の友社、2016年

 これは2015年に河北新報社で好評連載された記事を書籍化したものです。東日本大震災は多くの死者、行方不明者を出すだけでなく、今を生きる人々にも苦しみを与えました。本書では、祈りという視点から見た東日本大震災が新聞社ならではのリアリティあふれる語り口で述べられていき、読む人を引きずりこませます。
 震災の記憶も風化していく今、改めて震災を経験した人々の生の声を聞いてはみませんか。

本気で取り組む災害食:個人備蓄のすすめと共助・公助のあり方』、奥田和子、同時代社、2016年

 私も最近被災したのですが、食料が買い占められたガラガラのコンビニを見て個人備蓄の大切さを実感しました。この本では発災後を「災害が起こった直後(発災~3日後)」、「やや落ち着きを取り戻した時期(約1週間後~)」、「日常へ向かう回復時期(約1か月後)」の3ステップに分けて、備蓄すべき食べ物を具体的に提案しています。災害対策としてぜひ読んでほしい一冊です。