【特集図書・2018年8月】

 8月のテーマは「てのひらの宇宙―いつでも、どこでも、どこへでも―」です。人間の一生というのは短い。しかし、限られた寿命ではありますが、文庫・新書を読んで宇宙へ飛び立つことは可能です。今回はライブラリースタッフが、みなさんの価値観を広げられる本を集めました。

ミステリーの人間学:英国古典探偵小説を読む』、廣野由美子、岩波書店、2009年

 「人間性の探求」というテーマを文学作品、とりわけイギリスの古典ミステリーを通して論じる非常に斬新な評論書。5人の作家が生み出した探偵たちを研究することで、彼らの書きたかった個別のテーマや、そして探偵小説によって人間性を探求する共通のテーマに迫る。

星占いのしくみ―運勢の「いい」「悪い」はどうやって決まるのか?―』、石井ゆかり・鏡リュウジ、
平凡社、2009年

 皆さんは、「占い」に興味があるでしょうか。本書では、朝のニュース番組などでの毎日の運勢の良し悪しがどう算出されているのか、星占いの歴史、そして占いとどのように向き合っていけばより快適に毎日を過ごせるのかがわかりやすく書かれています。占いの奥深さがよくわかるので、つい朝のニュース番組の「今日の運勢占い」を気にしてしまう人はぜひ読んでみてください!

バッタを倒しにアフリカへ』、前野ウルド浩太郎、光文社、2017年

 あなたの夢は何でしたか?これは、「バッタ研究」と「就職」を両立するためにアフリカのモーリタニアへ飛び出したバッタ博士の、熱意と笑いの冒険譚。お金がなくちゃ生きていけないという現実に向き合いつつ、どうすれば夢を追いかけられるのか。バッタはそんなに好きじゃないという人にもおススメの1冊!

ハーフが美人なんて妄想ですから!! : 困った「純ジャパ」との闘いの日々』、サンドラ・ヘフェリン、
中央公論新社、2012年

 あなたは「ハーフ」と聞くと、どんなイメージを持つだろうか?ほとんどの人は、容姿端麗でバイリンガルな人を思い浮かべるだろう。この本は、ドイツと日本のハーフである著者が、日本社会で生きるハーフの葛藤を、実体験を交え赤裸々に語っている。ハーフなら必ずされる苦痛な質問…あなたも無意識にしてしまってはいないだろうか。

教養は児童書で学べ』、出口治明、光文社、2017年

 皆さんは子どもの頃にどんな本を読んだか覚えていますか?不思議と小さい頃に読んだ本は、大人になっても覚えているということはありませんか?児童書には、私たちが生きていくための教養や教訓がひっそりと、時には大胆につめこまれています。成長した今だからこそわかることを児童書から探してみませんか?

誰でもカンタン!「いい字」が書ける : 双雲流二〇の極意』、武田双雲、筑摩書房、2018年

 あなたは、自分の字に自信がありますか?この本を読むと、自分の字に自信を持つことが出来るようになります!字が綺麗になりたい…自分の字に自信がない…というそこのあなた!まず、自分の字を見つめ直すことからはじめませんか??自分の字を愛すことが出来る秘訣が沢山秘められた、そんな一冊です。

2030年の旅』、恩田陸 [ほか]、中央公論新社、2017年

 東京五輪の終わったさらに10年後のことなんて、想像できない。ロボットが活躍している?AIが人間と会話をしている?いや、もしかしたら、世界はそこまで進歩しておらず、私たちは今と同じように働き、笑い、恋をしているのかもしれない。8人の作家が書きだした近未来の日本を旅してみませんか。

隣のアボリジニ:小さな町に暮らす先住民』、上橋菜穂子、筑摩書房、2010年

 本書では、『獣の奏者』『精霊の守り人』の作者であり、文化人類学者である上橋菜穂子さんが、オーストラリアの先住民アボリジニの生活を紹介してくれます。それは彼らに寄り添いながらも、研究者として客観的に向き合い、作者の真摯な姿勢を感じるもの。上橋さんの目を借りて、アボリジニの世界を覗いてみませんか?

アリス殺人事件 不思議の国のアリスミステリーアンソロジー』、有栖川有栖[ほか] 著・横井司編、
河出書房新社、2016年

 言語と韻律の怪物『ジャバウォック』を思わせる犯行予告。探偵事務所に訪れた一人の女性と『白の騎士』の秘密。『鏡の中のアリス』を演じた反転した少女の死の真相を追う物語。誰もが知っている「不思議の国のアリス」をテーマとして6人の作家が描き出す6つの幻想のミステリーアンソロジー。まるでファンタジーのようなミステリーの世界を体感してみませんか?